テレビアニメ「チェンソーマン」のOPとなった米津玄師さんの「KICK BACK」。
モーニング娘。「そうだ! We're ALIVE」のサンプリングが印象的で、今回も米津節が満ち溢れたパワフルなナンバーになっています。
この記事では「KICK BACK」のMV解説や考察について紹介します。
「KICK BACK」MV解説
まずは「KICK BACK」のMV解説を紹介します。
こちらがMVです。
全編3分47秒の作品で、監督は「感電」のMVも手掛けた写真家・映像作家の奥山由之さんです。
MVには米津玄師さん、そして「KICK BACK」の共同編曲をおこなったKing Gnu常田大希さんが出演しています。
作品の流れを説明するとこちらになります。
- 取り憑かれたように筋トレに打ち込む米津玄師
- いとも簡単にバーベルを片腕で持ち上げる常田大希
- 対抗心を抱き、さらに筋トレに打ち込む米津玄師
- 腕ムキムキの米津玄師が誕生しワンパンでサンドバック破壊
- 全く気に留めずランニングマシンに移行する常田大希
- ムキムキの腕を脱ぎ捨て、さらに対抗心を燃やす米津玄師
- ランニングマシンから突然草原に飛び出す米津玄師
- 道路で叫んでいるところにトラックに轢かれる米津玄師
- しかし、うまく着地し走り出す米津玄師
- 大勢の人が加勢し、いつの間にかレースに
- ゴール直前に横から割り込み、1位になる米津玄師
- ゴール後、ランニングマシンに乗り我に返る米津玄師
- 横に現れた常田大希に気付き声を掛ける米津玄師
- 監視カメラの映像に移行
- そこに映っているのは米津玄師ただ1人だった
MVでは、”努力 未来 A BEAUTIFUL STAR”という歌詞と曲のリズムに合わせジムで筋トレをする米津さんのシーンから始まります。次に常田さんがやって来て片手で楽々とバーベルを持ち上げるのですが、そこに対抗心を燃やす米津さんの姿が描かれています。
更に筋トレに打ち込む米津さん。プロテインをがぶ飲みした結果、まるで筋肉の悪魔に憑依されたかのような腕だけムキムキの姿に変身します。いきなりサンドバックをワンパンチで吹き飛ばすのですが、常田さんはその光景に目もくれずランニングマシンに移行します。米津さんもすかさず筋肉の腕を脱ぎ捨てランニングマシンに向かいます。
そこでも米津さんは対抗心を燃やしスピードをあげて走っていると突然、草原に飛び出します。辺りを見回し歩き始めて道路に出て叫んだ瞬間、トラックに轢かれてしまいます。
宙を舞うもうまく着地し、走り始める米津さん。そこに赤いスポーツカーに乗った常田さんが現れ、横目で米津さんの方を見ながら走り去っていきます。
なおも走り続ける米津さん。窓ガラスを蹴破って屋上に出るとそこにはもう1人の米津さんに似た格好の人物が。2人から4人、そしてついには大勢に。いつの間にかレースのような状況になります。
走り続け行き着いた先は謎の採掘場。目の先にはゴールテープが張ってあり、大勢の人物がゴール目がけてラストスパート。しかし、ゴール付近にとまっていたロケバス横で待機していた米津さんが突然ゴール目がけて走り出し、1位の男を突き飛ばし見事ゴールテープを切ります。
レースが終わった後、採掘場に置いてあったランニングマシンに乗る米津さん。その瞬間急に我にかえり、現実の世界(元にいたジム)に戻ってきます。
すると横に常田さんがやって来て、気づいた米津さんは声をかけます。その瞬間監視カメラの映像に切り替わるのですが、そこには常田さんの姿は映っておらず、話しかける米津さんの姿だけが・・・。
「KICK BACK」MV考察
今回の曲のタイトルは「KICK BACK」。
キックバックとはチェーンソーの作業中に、刃がコントロール不能の状態で作業者に向かって跳ね返ってくる現象のことを言います。つまり原作に関連した内容をイメージしたタイトルが付けられていることがわかります。
また、『チェンソーマン』の作者である藤本タツキさんの長編読み切り漫画『ルックバック』の語呂も意識してつけられたのではないかと予想します。
それでは「KICK BACK」のMVについて考察します。
米津=デンジ 常田=マキマ
今回のMVでメインとして登場する米津玄師さんと常田大希さんの2人ですが、米津さんはデンジ、常田さんはマキマさんの設定なのではないかと思います。
はじめ2人はライバル関係のようなものかと思っていましたが、ストーリーの最後でやや嬉しそうな表情で常田さんに声をかける姿は、敵意ではなく憧れや好意を持っているように見えます。
つまり、米津さんは常田さんに憧れを抱いている=デンジはマキマさんに好意を持っているという部分が重なり、米津さんはデンジで常田さんはマキマさんなのではないかと思います。
また、どんな状況においても感情を表に出さない常田さんの姿や表情は、どことなくマキマさんのキャラクターに重なります。
なぜ筋肉ムキムキに?
原作では、生きるために悪魔(ポチタ)と契約を結んだデンジですが、「KICK BACK」のMVでは幸せになるため(常田さんに認めてもらうため?)に筋肉と契約をした米津さん。
なぜ筋肉?と思ったのですが、これは少年が抱くヒーロー像というものを分かりやすく筋肉ムキムキの男ということで表現したのではないかと思います。
常田大希は幻想?
幸せになるために(常田さんに認めてもらうため?)無理に無理を重ね、時にはズルをしてでも結果を残そうとした米津さん。
しかし実際には、幸せになるためには地道に努力するしかない、楽をしては生きていけないといった皮肉を込めた表現をしているのではないかと思います。
楽して生きようとしても、その欲望の中で作り上げた憧れやライバルは全て自分や世間が作った幻想で、そこに残るのは絶望感や焦燥感だけという想いが込められているのではないでしょうか??
「KICK BACK」MVの小ネタ
「KICK BACK」のMVの中には原作や歌詞とリンクする部分や遊び心が隠されてるのですが、わかった範囲内で紹介します。
当たり付き自動販売機の意味
開始0分27秒のあたり、ガラ空きのコインランドリーの当たり付き自動販売機でジュースを購入する米津玄師さんですが、4444が揃うかと思いきや結果はハズレ。
これは、「KICK BACK」歌詞の2番 ”4443で外れる炭酸水” という部分にリンクしており、「4444」になれなかった=「4合わせ(しあわせ)」になれなかったという意味が表現されています。
また、原作で主人公のデンジが願う小さな幸せ(食パンにジャムを塗って食べたい、女性を抱きたいなど)をジュースの当たりとして表現したのではないかと推測します。
歌詞を見るだけでは理解できなかった部分ですが、MVを観て理解し、納得できた方も多いのではないでしょうか??
スポーツカーのナンバープレート
常田大希さんが乗ったスポーツカー(FERRARI F430 F1)のナンバープレートをよく見てみると、
YKKB
つ・・・8
となっています。
ここには、
Y(YONEZU)
K(KENSHI)
K(KICK)
B(BACK)
つ(つねた)
8(ハチ ※米津さんの別名義)
という遊び心が隠されています。
米津さんか監督の奥山さんかの提案なのかはわかりませんが、こういった細部にもこだわってファンを楽しませてくれる素晴らしい作品です。
米津玄師が常田大希にかけた言葉
MVの最後には、米津玄師さんが常田大希さんに声をかけるシーンが描かれていますが、途中で監視カメラの映像に切り替わり、何と言ったのかわからないまま終わってしまいます。
ちなみに途中まで発した言葉を書き出してみると、
「あの・・・、つ」
といった感じになります。
おそらく、この続きは「あの・・・、常田大希さんですよね?」と言ったのではないかと予想します。
まとめ
今回は米津玄師「KICK BACK」のMVについて解説や考察を紹介しました。
全体的なコミカルさに加え、最後にはホラーのような狂気じみた展開でとてもユーモア溢れる作品だったのではないかと思います。
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